姿勢とこころ、自律神経の深い関係
最近、子どもの姿勢が気になる…そんな声をよく耳にします。
「ごはんのときも勉強のときも、背中が丸くなってて…」「何度言っても治らないのよね」
そんなふうに悩んでいるお母さん、多いのではないでしょうか。
でも、もしかするとその猫背や前かがみの姿勢、単なるクセや怠けではないかもしれません。
実はその背中の丸さの裏に、「こころの緊張」や「自律神経の乱れ」が隠れていることがあるのです。
自律神経は、体の中の温度調節や内臓の働き、呼吸や血流などをコントロールしてくれている神経です。とても繊細で、こころの状態と直結しています。学校でのプレッシャーや友達関係、習い事での緊張…
子どもたちは私たちが思っている以上に、いろんなストレスを受け止めています。
そのストレスが溜まると、体がこわばって筋肉が硬くなり、自然と背中が丸くなってしまうのことがあります。
特に背中を縦に通っている「膀胱経(ぼうこうけい)」という経絡(けいらく)は、不安や緊張とつながっていて、感情の影響を受けやすい場所。
疲れやすかったり、夜なかなか眠れなかったり、イライラが続いているときは、この経絡が張って姿勢が崩れやすくなるのです。
反対に、お腹の前側を通る「胃経(いけい)」という経絡は、イライラや焦りと関係しています。お子さんが怒りっぽくなっていたり、落ち着きがなかったりするときは、体の前側に余計な力が入って、股関節が歪んだり膝が痛くなったりします。
姿勢は、「その子のこころの鏡」です。
では、どうしたら子どもの姿勢を整えられるのでしょうか?
まず大切なのは、叱ることではなく、「気づいてあげること」です。
「どうしたの?疲れてるのかな?」「ちょっと背中こってる?」と、やさしく声をかけてあげてください。
触れられること、共感してもらえることが、安心感につながり、姿勢の改善にもつながります。
たとえば、夜寝る前に軽く背中をさすってあげるだけでも、膀胱経の緊張がやわらぎ、呼吸が深くなります。お風呂で温めながら、足の裏やふくらはぎをマッサージしてあげるのもおすすめです。子どもは素直なので、体がゆるめば、気持ちも自然と落ち着いていきます。
深呼吸を意識するのも効果的です。ゲームやスマホで前かがみになりがちな子には、「一緒にゆっくり背伸びしてみようか」と声をかけて、のびのびした呼吸を取り戻してあげましょう。姿勢を正すことで、心のスペースも広がっていきます。
子どもの姿勢は「育ちの姿勢」。
言葉よりも、体を通じて伝わっていることが、たくさんあります。
「また猫背になってるよ!」と注意する前に、
「今日はちょっと疲れてるのかな」と、そっと気持ちに寄り添ってあげてください。
そしてあなた自身も、深呼吸とゆったりした姿勢で過ごしてみてください。