自律神経と心拍数の変動
あなたの“リズム”が語る心と体の状態について。
ふとした瞬間に、鼓動が速くなっていると感じたことはありませんか?
あるいは、深呼吸をした後に、少し心臓の音が静かになるような気がしたことがあるかもしれません。
実はその変化は、「心拍数の変動(Heart Rate Variability:HRV)」と呼ばれるもので、自律神経の働きが深く関係しています。
興味深い例えを言います。
自律神経は“生命のリモコン”です。
自律神経とは、私たちの意思とは無関係に、呼吸・血圧・体温・消化などを24時間365日、自動で調整してくれる神経です。
交感神経と副交感神経の2つからなり、たとえるならば「アクセルとブレーキ」のような関係です。この2つがバランスよく働いているとき、私たちの体と心は健やかに保たれています。
心拍数は、ただ一定にトン・トン・トンと刻まれるわけではありません。実は、ごくわずかに「ゆらぎ」がある方が、体にとっては正常なのです。
このゆらぎこそが「心拍数の変動(HRV)」であり、高いHRVは「自律神経が柔軟に反応できている証拠」。逆にHRVが低下すると、ストレス、疲労、うつ状態、睡眠障害などのサインとして現れます。
現代はストレス社会。
スマホやSNS、仕事のプレッシャーにさらされ、自律神経のバランスを崩す方が増えています。すると、心拍のリズムも単調になり、体は「アクセルばかり踏んでいる状態」に……。
最近では、スマートウォッチや心拍計を使って、自分のHRVを簡単に確認できるようになってきました。数値としてはっきり見えると、自律神経のコンディションを「見える化」でき、心身のセルフケアに役立ちます。
また、専門家による検査(心電図など)でもHRVの測定は行われており、医療やスポーツの現場でも活用されています。
心拍数の変動は、「呼吸」で意識的に変化させることができます。特に「ゆっくりとした腹式呼吸」は、副交感神経を優位にし、HRVを高めてくれます。
・朝の太陽光を浴びる
・深呼吸、瞑想の時間をつくる
・カフェイン・アルコールの摂りすぎを控える
・適度な運動(ウォーキングやストレッチ)
・スマホをオフにする“デジタル断食”の時間
心と体は、いつも対話しています。
心拍数の変動は、あなたの心と体の“ささやき”のようなもの。普段は聞き逃してしまうような微細な変化ですが、そこには、今のあなたの状態を知る大きなヒントが隠れています。
頑張りすぎたとき、不安が強いとき、よく眠れないとき……。そんな時は、自分の心のリズム、体のリズムにそっと耳を澄ませてみてください。
あなたの“リズム”は、あなた自身が整えていくことができるのです。