【涙するあの一枚】
「……なにこれ、涙が止まらない」
木村美奈子さんの画廊で、その言葉は突然こぼれ落ちました。
隣にいた妻の頬に、ぽろりと涙が伝っていたのです。
目の前にあったのは、秋の銀杏並木を背景にした、女の子と子犬の絵。
特別な仕掛けも、派手な演出もない。
ただただ優しく、静かで、どこか懐かしい光景。
あなたにも、理由もわからず胸が締めつけられたことはありませんか?
絵や音楽、ふとした風景に、心がほどけていくような体験。
実はこうした反応、アートセラピーという分野ではごく自然な現象なんです。
アートセラピーとは、絵画や音楽などを通して、無意識に閉じ込めていた感情や記憶を解放し、心を癒していくセラピー。
心理学や医学の分野でも、その効果は広く認められています。
でも、知識じゃなくて体感で理解できたのは、この日が初めてでした。
妻は、幼い頃に一緒に過ごした犬のことを思い出したそうです。
また、娘の成長を実感して、感情に触れたとも言っています。
その声に、僕の胸も熱くなりました。
アートには、心の奥にそっと触れる力がある。
「言葉」よりも深い場所に届く。
それはまるで、カウンセラーに静かに手を差し伸べられるような感覚でした。
「セラピーって、特別な人が受けるもの」
では、ないんです。
今、もしあなたの中にモヤモヤや、消化できない気持ちがあるなら。
誰かに話す前に、“感じる”という方法を試してみてください。
画廊に足を運ぶのが難しくても、木村美奈子さんの作品はInstagramでも見ることができます。
でも、あなたの心に響く絵に出会えるタイミングは、一期一会かもしれません。
※「木村美奈子 画家」で検索してみてください。
心の奥に静かに触れてくるあの世界が、きっとあなたを待っています。