カフェインと自律神経
“目覚め”と“休息”のバランスを整える鍵、カフェイン。
私たちの体は、常に「交感神経」と「副交感神経」というふたつの自律神経のバランスで成り立っています。
昼間に活動的になるのは交感神経が優位になっているから。
夜にリラックスできるのは副交感神経が働いているおかげです。
このような“体内リズム”のなかで、カフェインはどのように作用するのでしょうか?
カフェインは、交感神経を優位にする作用を持っています。
つまり、体を「活動モード」に切り替えるスイッチのようなもの。
朝のぼんやりした頭をシャキッとさせたり、昼食後の眠気に抗う助けになるのは、この働きによるものです。
脳内のアデノシンという“眠気物質”をブロックし、神経伝達を活性化させることで、集中力・判断力・持続力が向上します。
このように、日中のパフォーマンスを高める面では頼もしいカフェインですが、摂取のタイミングを誤ると、自律神経のリズムを乱してしまうこともあります。
たとえば、夕方や夜にコーヒーや濃いお茶を飲むと、交感神経が高ぶったまま眠りにつきにくくなり、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなってしまうことがあります。
こうなると本来、夜間に優位になるはずの副交感神経が働かず、回復力が落ち、翌朝も疲れが取れないという悪循環に。
特に、自律神経の不調を感じやすい方や、季節の変わり目に体調を崩しやすい方にとっては、「いつカフェインを摂るか」がとても大切になります。
朝食後や昼食後など、“交感神経を活かしたい時間帯”に限定して取り入れることで、リズムを整える手助けになります。
また、緑茶に含まれるカフェインは、コーヒーよりも作用が穏やかで、さらにL-テアニンという成分が副交感神経の働きをサポートするため、同じカフェインでも「緊張させすぎない」優しいバランスをもたらしてくれる点も魅力です。
つまり、カフェインは敵ではなく、“自律神経のパートナー”として付き合うことができる存在なのです。
朝には頼もしく、夜には控えめに。
このちょっとした意識が、日々の体調や心の安定を支えてくれる力になります。
カフェインとうまく付き合いながら、自律神経のリズムを、自分らしいリズムへと整えていきましょう。