森林浴でリフレッシュ
「どのくらい歩いたらいいですか?」
これは患者さんからよく受ける質問です。
私が治療院でその問いに答えるとき、決まってこうお話しします。
「神社に行ってみてください」
私が神社参拝をすすめる理由は、「森林浴」ができるからです。
多くの神社は鎮守の森に囲まれ、鳥居をくぐった先には、大きな木々や砂利道、季節ごとの自然の風景が広がっています。
そこを数百メートル、静かに歩くだけでも、脳と身体はリフレッシュします。
森林浴はただ「緑を見る」だけのものではありません。
木々から放たれる「フィトンチッド」という物質が空気中に満ち、私たちの自律神経を整える働きをしてくれることが、さまざまな研究で分かっています。
ストレスホルモンを減らし、呼吸や脈拍をゆるやかに落ち着ける…
つまり、神社の様な場所は理屈抜きで“ほっ”とできる空間なのです。
特別な運動をする必要はありません。
静かな木立の中を歩き、立ち止まり、手を合わせるという一連の流れが、心と身体の緊張をそっと溶きほぐしてくれます。
もちろん、歩く距離が大切なときもあります。
しかし、数字や歩数にとらわれすぎると、かえって「やらなきゃ」に変わってしまいます。
治療院では、義務ではなく「心地よさ」を感じる運動をおすすめしたいのです。
だからこそ、神社を歩く。
無理なく、静かに、自然の力を借りて整える。
それは、私たちの暮らしのなかにある、小さな養生の知恵だと私は思っています。