朝の理想のルーティン
目が覚めたのは、鳥の声とカーテン越しのやわらかな光。
目覚まし時計のけたたましい音ではなく、自然がそっと耳元で「おはよう」とささやくような朝。
こんな始まりが毎日だったら、どんなに素敵だろう。
まずは、ベッドの上で両腕をぐーっと天井に伸ばす。
まるで草木が太陽に向かって背伸びするように。
身体がゆっくりと目覚めていくのを感じる。
ここでひとつ深呼吸。
鼻から新鮮な空気を吸い込み、口からゆっくりと吐き出す。
何も急がなくていい。心も身体も、まだ柔らかくあたたかいままでいい。
キッチンに降りると、昨晩仕込んでおいた白湯がポットの中で待っている。
お気に入りのカップに注ぎ、そっと両手で包む。
ぬくもりが指先から胸の奥へと流れ込み、まるで心まで潤してくれるよう。
ゆっくりとひと口。
胃が、眠っていたエンジンを回し始める。
次に、小さなストレッチと簡単なヨガ。
リビングの片隅で、陽だまりの中にヨガマットを敷く。
猫のポーズで背中を丸めたり、やさしく身体をねじったり。
頭ではなく、身体の感覚に耳を澄ませていると、不思議と心も落ち着いてくる。
それから、5分間だけ日記を書く。
昨日の感謝、今朝の気分、今日やりたいことを、思いつくままに。
誰に見せるわけでもない、自由なひととき。
たった5分でも、頭の中が整理されて、心が軽くなる。
朝ごはんは、ほんの少しのこだわりをこめて。
たとえば、焼きたてのトーストにバターを塗り、半熟の目玉焼きをのせて。
横には、切っただけのフルーツと、好きなハーブティー。
忙しい日はどうしても適当に済ませてしまうけれど、こんな風に“丁寧に食べる朝”があるだけで、世界がすこし優しく見えるから不思議。
窓を開けて、外の空気を感じる。
季節の匂い、遠くで走る車の音、風に揺れる木の葉。
すべてが「今日も新しい一日が始まるよ」と教えてくれている気がする。
このルーティンが完璧にできる日は程遠い。