「感情の記憶と自律神経の関係」
私たちが日々感じる
「嬉しい」
「悲しい」
「怖い」
といった感情は、単なる気分の変化にとどまらず、身体の奥深く、自律神経の働きにも影響を与えています。
しかも一時的な感情だけでなく、過去に経験した感情の“記憶”も、私たちの自律神経を密かに揺さぶり続けているのです。
たとえば、ある人が小学生のとき、発表の場で笑われてしまったという経験を持っているとしましょう。
その出来事は何年も前のことでも、似たような状況――
人前に立つ、注目される、何かを表現する――
という場面に出会うと、当時の恥ずかしさや緊張が身体に再現されることがあります。
胸がドキドキし、手のひらが汗ばみ、声が震える。
これらは自律神経のうち、交感神経が活発になっているサインです。
つまり、記憶された感情が、現在の身体反応を引き起こしているのです。
このような「感情記憶」は、脳の中でも主に扁桃体という部位が関係していると考えられています。
扁桃体は、危険や不安など生命に関わる感情を瞬時に判断し、それに応じて自律神経を動かします。
そのため、一度「怖い」「つらい」と記憶された体験は、状況が似ていれば脳が「また危険だ」と判断し、身体を緊張状態へと導くのです。
ところが、感情記憶はネガティブなものだけではありません。
大切な人と過ごした穏やかな時間や、美しい景色を見て心が癒された瞬間など、心地よさや安心の記憶もまた、自律神経に作用します。
安心できる場所や香りに包まれると、自然と呼吸が深くなり、肩の力が抜けるような感覚を覚えることがあるのは、まさに副交感神経が働きはじめている証拠です。
こうした「ポジティブな感情の記憶」は、心と身体を緩める力を持っているのです。
感情の記憶と自律神経の関係を知ることは、自分自身を理解するヒントになります。
なぜ特定の場面で緊張するのか、なぜある音楽を聴くと涙が出るのか――
それらは単なる気まぐれではなく、過去の感情体験と自律神経の反応が深く結びついているからです。
そしてその結びつきは、少しずつ書き換えていくこともできます。
穏やかで安全な環境の中で、新しい経験を重ねていけば、「安心」の記憶が増え、それに応じた身体の反応も育まれていくのです。
感情の記憶は、過去に閉じ込められたままではありません。
自律神経という身体の声に耳を傾けながら、自分の感情とのつながりを丁寧に見つめ直してみること。
それは、心と身体がともにほぐれていく、やさしい第一歩になるでしょう。
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いかがでしたか?
あなた自身やご家族、大切な方の心身のお悩みのお役に立てたらと思います。
次回もお楽しみ!
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