なぜ“深呼吸”で落ち着くの?
緊張したときやパニックに陥りそうなとき、「とりあえず深呼吸しよう」とか言われたことがありますよね?
呼吸によって自律神経が整うという“脳科学的な裏付け”をお話しします。
鍵となるのは、脳の中央にある「トルコ鞍」と呼ばれる小さなくぼみ。
ここには、ホルモンの総司令官とも言える下垂体が収まっています。
下垂体は、体温や血圧、ストレスホルモンなどを管理する自律神経のハブ(集線装置)のような存在。
ここが過活動になれば、動悸、発汗、不眠など、いわゆる「自律神経の乱れ」が現れやすくなります。
これからお話しする説明は、「選択的脳冷却(selective brain cooling)」という現象に基づいています。
人間の鼻腔や副鼻腔には、冷たい空気が通ることで周囲の血液が少し冷やされ、それが硬膜を通して脳に伝わる“自然の冷却システム”があります。
冷却された静脈血が、熱を持ちやすい脳の奥、特に自律神経をコントロールする視床下部・下垂体近辺を穏やかに冷やす、これが、深い鼻呼吸や冷却によって心を鎮める対策になり、さらに、あくびの抑制効果や、集中力の持続とも関連するという研究もあります。
これからの酷暑において、外気温の上昇とともに体温も脳温も上がりやすい日々が続きます。
おでこや眉間、頬骨を氷で冷やすのもとても有効な手段です。
冷房、冷却とともに、あなたの「深呼吸」こそが、もっとも手軽で強力な“脳冷却法”。