「やりたいか」ではなく「ためになるか」で選べる人は強い
ストレッチが痛いからやらない。
苦いお茶が嫌いだから飲まない。
運動したほうがいいと分かっていても、「今は気分じゃないから」と先延ばし。
そんなふうに、「やりたいか・やりたくないか」で物事を判断していると、自分の体や心に良いはずの行動が、どんどん遠ざかっていきます。
でも、これは単なる“わがまま”や“根性がない”せいではないかもしれません。
自律神経の乱れが、あなたの選択の基準を狂わせている可能性があるのです。
人の行動を左右する「判断の軸」には、大きく2つあります。
ひとつは「やりたい・やりたくない」という感情ベースの判断。
もうひとつは、「自分のためになるか・ならないか」という理性に基づく判断です。
前者は、本能的で短期的な快・不快に支配されやすく、後者は、将来や目的に向かって自分を律する“成熟した脳”の働きです。
自律している人は、後者の判断軸を持っています。
つまり、「今はやりたくないけど、これは自分のためになる」と考えて、行動を選び直せる人です。
自律とは、まさにこの力のこと。
一時的な快楽や面倒くささに流されず、自分で自分をコントロールする力。
交感神経と副交感神経のバランスが整い、前頭前野がしっかり働いている状態こそが、自律の土台なのです。
では、自律はどうすれば育つのでしょうか?
いきなり「気合で頑張る」のではなく、まずは小さな不快や違和感にほんの少しだけ向き合う練習から始めてください。
たとえば、、
・ストレッチを痛くない範囲で続けてみる
・あえて苦いお茶を一口飲んでみる
・面倒な作業を先に1つだけ片づけてみる
・早起きを5分だけ挑戦してみる
こうした小さな“背伸び”を毎日少しずつ積み重ねることで、脳は強くしなやかになり、自律神経の働きも安定していきます。
そしてある日、ふと気づくはずです。
「これは自分のためになる」と思えることを、自らの意思で選べている自分に。
それは、自分の未来に責任を持ち始めたということ。
つまり、あなたが“自律”のステージに立った証です。
「やりたいかどうか」じゃない。
「自分にとって価値があるか」で選ぶ人は、心と身体の芯が強く、しなやかです。