カラーセラピーの効果
人の心と体は、思っている以上に「色」の影響を受けています。
カラーセラピーでは、色にはそれぞれ固有の波長があり、その波長が視覚を通して脳に働きかけ、感情や自律神経に変化をもたらすと考えられています。
つまり、色は目に映るだけのものではなく、私たちの身体機能にまで作用する、もうひとつの「非言語的なセラピー」なのです。
治療院という空間には、リラックスと信頼、そして心の落ち着きが求められます。
そのため、院内の色選びには無意識レベルの心理的効果が非常に大切になります。
たとえば、床やタオルに取り入れている“青”という色は、まさにその代表です。
青は副交感神経を優位にし、呼吸を深め、心拍をゆるやかに整える色。
興奮や不安を静め、患者さんが安心して身体を委ねられる状態へと導いてくれます。
特にタオルのように肌に近い場所で青を見ることは、心の奥深くに「ここは安全な場所だ」というメッセージを届ける役割を果たしています。
また、院内のカーテンに使われているエメラルドグリーンは、青と緑の性質を併せ持つ色です。
緑は自然・成長・調和の象徴であり、特に神経系のバランスを整える色として知られています。
心身の疲れを回復へと導くこの色は、視界に入るだけで「呼吸がしやすくなる」「緊張がほどける」といった感覚を引き起こします。
そこに青の静けさが加わったエメラルドグリーンは、まるで森林の中で深呼吸しているような安心感を与えてくれるのです。
カーテンという半個室的な仕切りにこの色を用いることで、空間が閉塞的にならず、視覚的にも呼吸ができるような“抜け”が生まれます。
こうした色の作用は、患者さん自身が言葉にできないまま抱えている不安や緊張に、静かに働きかけてくれます。「ここに来るとほっとする」「なんだか落ち着く」──その言葉の背景には、施術の手だけではなく、空間そのものが行う“色のセラピー”があるのです。
色は、目には見えるけれど、言葉にはならないやさしさを持っています。
そしてそのやさしさは、無意識のうちに、心と体にそっと寄り添ってくれる。
整骨院が治療の場であると同時に、回復と安らぎの空間であるために──私はこれからも、色のちからを大切にしていきたいと思っています。